日本の沼
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- 第十回 「忌み地」としての沼の考察(小休止)
■四谷からリハビリ 2018年の夏の暑さは老いた身に堪えた。復調してしばらくぶりに新宿の住まいに戻ることができたので、リハビリがてら「沼」と「忌み地」を紐付けながら、旧・鮫河橋~旧・市ヶ谷刑務所を歩いてみた … 続きを読む
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- 第九回 「山の沼田場」
■沼帰りの話 沼の囁く声が聞こえると決まって虫の羽音に遮られ、意味をなさないとぎれとぎれの声をつなぎ合わせることしかできないでいるのは、本質の周りをぐるぐる遠巻きに吠えて涎を吹き散らすみすぼら … 続きを読む
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- 第八回 「飯山満の2つの沼」
■寄せられた沼の情報 ▲今回は、千葉県船橋市の飯山満(はさま)に訪れた。この地域は深田のため、子どもたちに「帽子が田んぼに落ちても絶対に取りに入ってはならぬ」と言ったほどで、大人 … 続きを読む
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- 第七回 「沼津・柿田川湧水群」
1.沼津へ 私の生命の発生、生命の始まりのことを思うと、沼のことしか考えられなくなっていった。 八幡の藪知らずに赴いてから、しばらく常宿となっている修善寺温泉の「白壁荘」(通称=神隠しの宿)で休養をとらせて … 続きを読む
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- 第六回 「藪知らずのガス沼」
1.芥川龍之介の沼 芥川龍之介は「沼」(大正九年三月)のなかで、分身ともいえる「おれ」に沼の霊気にあてられた様を独白させ、自身の将来を暗示するかのような行動に向かわせている。なかでも、体から長く伸びたアレの … 続きを読む
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- 第五回 「大宮『みぬまの沼』」
1.大宮の見沼 私が沼を歩き続けて数十年からになる、沼への興味は尽きることがなく、気が付いてみると終生の仕事になっていた。 沼に興味を持ったのは、それが私の幼少期の記憶に繋がるからだ。 ▲武蔵野の原風景。 … 続きを読む
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- 第四回 「早稲田の『お化け沼』」
1.早稲田の「お化け沼」 新宿伊勢丹の惣菜コーナーで、旧友のTと数十年ぶりに出くわした。 パッと見、60代にも見えるであろうか。変わらず蛇革のハンドバッグを小脇に携えたスーツ姿は江戸前である。 ラウンジで早 … 続きを読む
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- 第三回 「仙台・柚ノ木溜池」
1.今回の沼 今回は杜の都・仙台に足を伸ばした。 仙台に住むテンガロンハットの紳士=T氏との出合いが発端となっている。古くから続く沼筋のネットワークもここにきて一気に広がりつつあることを実感している。 ▲仙台駅前。人通り … 続きを読む
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- 第二回 「石岡の名無し沼」
1.今回の沼 死の先触れなのか、沼への思慕が日々折り重なっていく。 今回は往年の沼筋仲間・N氏(58)から情報を得た。 彼は気軽で、蝶ネクタイ、それに角ぶち眼がね、頭のはげあがった元気な紳士だ。信用に足ることからさっそく … 続きを読む
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- 第一回 「赤羽自然観察公園」
1.私の沼 私は私の記憶の原点である沼を巡りながら、人間の意識の原点へと想いを馳せるようになった。 2.沼の定義 なにものにも縋りつくことができなくなってしまった現代に取り残された私にとって、立ち返っていく対象がかろうじ … 続きを読む