最終回/現在
2020年2月頃、新型コロナウイルスがパンデミックに至る。
感染防止のため、世界じゅうのあらゆるイベントが開催できなくなった。
「不快に感じるから展示をやめろ」とか「子供を守りたいから展示をやめろ」みたいあたまのおかしいアンチの主張とはわけが違う。そんな平和ボケしたクソみたいな感情と関係なく、集会にノコノコ出掛けただけで死ぬかもしれんのだぞ。
治療法もわからない中で展を開催する道理はない。
ウィズコロナの時代にあっては、仮に開催したとして、アンチが自粛警察を偽装するだろうことは容易に想像がつく。
これまでで展示内容にいちゃもんつけても政治活動しても止められなかったから、こんどはコロナを口実にして妨害してやれってことだな。
もしワタシがアンチ側活動家だったらそう出るだろうなあ。わかるよその気持ち。
公的なイベント開催ガイドラインでは、感染者が出た場合に備えて来場者の連絡先リストを作れなんて無茶を言う。そんな監視社会の片棒を担ぐようなこと、できてもやりませんよ。実際に名簿作ってるイベントもあるけど、その権力への従順さは誉められたものではない。各来場者個人の判断で位置アプリでやるべきこと。
疫病を反動権力のために使うやつは許さないぞ。
パンデミックの下ではどのイベント主催者も平等に不自由だ。
コミックマーケットやコミティアなど同人イベントが開催を断念し、舞台やスポーツ試合も無観客開催になった。
配信に乗せられるイベントやコンテンツなら、無観客でもやり方によっては儲かったりもするらしい。
じゃあ展はどうするの?
写真そのものを配信で流すのは簡単だが、展でやりたいのは写真を流すことではなく、声かけファンの交流場を形成して祝福すること。声かけ文化を徹底して肯定すること。
リアル開催にこだわる。事前予約制の展示だって経験済み。
次に展を開催するならば、また新しいストーリーと、ストーリーに沿った妨害対応策を描く必要がある。
ストーリーとは、初回2016年の「運動会終わって半月くらいした教室の空気」だったり、2019年大阪の「放課後の駄菓子屋や個人経営の塾」だったりする観客への背景ヒントである。
これがまだノープランだった。
運営側としてはそんな感じで、やれることとやりたいことが全然マッチできず、無為に時間が過ぎた。
***
5月に入って、同人界隈からバーチャル空間での即売会情報が流れてくる。
今までもオタクたちはバーチャル空間でのSNSが旬だといい、その最大プラットフォームであるVRChatの話題はTwitterでもたびたび言及されてきた。
VR上SNSの何が良いのかというと、普及初期で機材や設定が面倒そうだとかのハードルが高いためにオタクが選別されて社会が形成されているところ。
思い返せば10年前、一般人は初期のバーチャル空間SNS、Second Lifeに乗りかけて投げ出している。その後バーチャルユーチューバーの勃興など、VRのオタク性が加速。
VRはオタクのものだ。Twitterのように一般大衆に見られて怒られるような規模のVR空間はまだない。
インターネット普及初期やその前のパソ通掲示板初期のような空気があるわけだな。
そんな大衆化の前で踏みとどまっているVR上で、同人誌の即売会「コミックVケット」が開かれるという。略称、コミV。
運営はVR法人HIKKY。募集ブース数400。出展無料。
VRChat、Cluster、STYLYのVRプラットフォーム3つに同じ会場が平行世界として設営される。
会期4日間中、バーチャルなので24時間オープン。
「コミック」と名が付いているがマンガ以外の同人もOKで、出展側の出し物はダウンロード販売のほか、紙の本やグッズも認められる。物理商品を出す場合は、VR空間でサンプルを見せて別途オンラインショップへ誘導すればいい。
やってることは通販と同じになっちゃうよね。
即売会は買うまでのお祭り部分が本質で、そのお祭りをコロナ除けのためにVRにする感じ。運営もコロナ禍をVR普及のチャンスと見ているようだ。
さっきリアル開催にこだわると言ったな。だが気が変わった——他者のイベントに出展するのは2017年御苗場以来3年ぶり。
御苗場の教訓からしてロクな結果にならないことはわかる。
わかった上での出展無料だ。せっかくだからVRの歴史に足跡を残すのも悪くはないだろう。
VR界が声かけ写真文化をどう扱うか、運営の度量が知れるというもの。レギュレーションはアダルト禁止くらいなもので、抵触する要素はない。
出展サークル名は包み隠さず「声かけ写真展」。
応募すると、予定されていたスペース抽選はなく、全員当選となった。
出し物は大阪展で残った解説小冊子と、オンデマンド生産のマグカップ、ステッカー、缶バッジ、スマホリングなど。てくのてぃっしゅ氏に新作ビジュアルを依頼。
7月、小冊子のサンプルページをVR空間にアップロード。テーブルクロス、ブースポスターでVR内ブースを飾り付けし、運営のチェックを受ける。
VR上の見本誌が乱丁する不具合報告などのやりとりはあったが、内容に関する警告は一切なかった。
さて、ユーザー数はVRChatがダントツであり、ClusterやSTYLYから会場に入ってもVRChat側の来場者とは会話できない。売り子としてブース前に立つためにはVRChatを動かす必要がある。
VR空間を歩き回るのにゴーグルなど要らない。モニタ画面とキーボード操作でいい。
ただしVRChatは重い3Dゲームをぶん回せるオタク仕様のWindows機を要求する。ゲーミングPCってやつだ。VR会場が広くて複雑であればさらにパワーを食う。
Macユーザーのワタシは、この条件で自分自身も会場から排除されてしまう。
手持ちのMacにWindowsを入れ、VRChatを予行練習する。アバターも出来合いの軽そうなポリゴン紳士「Dan」を選択。データの軽い部屋でなんとか動く程度であった。ネットの速度が遅いと声が聞こえないとか他人の姿が黒いスジ状に化けるとか、実用には程遠かった。
Windows機、こういう変な事情で10年に一度くらい必要になるときがある。
VRで会話するのが目的だから声の出せないネットカフェは使えないし、テレワークボックスやカラオケボックスにはゲーミングPCなんて置いてない。
しょうがないので普段からVRChatで遊んでいるフォロワーやサポーターにも偵察協力を乞うことにした。
運営から、会場は「バーチャル秋葉原」だと発表がある。
VR内に秋葉原・中央通り歩行者天国のあたりが電気街公認でモデリング再現され、同人即売会サイズの長テーブルが路上に設営される。看板からしてスポンサーも多そうで、御苗場がカメラメーカーをスポンサーにしていたのと同じ窮屈さを感じる。
声かけ展の公式サイトでは妨害を避けるため、開催当日深夜に「秋葉原」で開催の旨、サプライズ発表。その前にツイッターではあらかじめ撮っておいた本物の秋葉原の写真をツイートし、撹乱させておいた。
秋葉原で声かけ展。
その情報を見たアンチは千代田区長や万世橋警察にでも凸したのか?
興味深いところだが、外側から観測するかぎりそれはわからなかった。ただ「秋葉原のどこでやってるの?」という探りDMが来たときはアンチ臭やべえなって返答に迷いましたね。
2020年8月13日午前10時30分、開会式。11時に開場。
コロナとオリンピックがなければビッグサイトでコミケが行われるタイミングだ。
VR空間は想像を超える重さだった。
ワタシの環境ではぜんぜん動かない。ユーザー側だけでなく、会場側で入場者数の制限もかかっているようだ。
正式版と軽量版の二つの入り口があり、軽量から入っても途中で画面が止まる。入り口から展のブースまでたどり着くことすらできない。
歩行者天国は巨大なため数個のセグメントに分かれていて、セグメントをまたぐときに読み込みが発生、この読み込み中にも固まる。
ゲーミングPCで参加する人も重すぎと言っていた。
そんな開場直後の状態で、ワタシに代わってフォロワー氏にスクショしてもらったのがこの画像。
↓
その後、あまりの重さのためかメンテ状態となる。昼下がりに再開、動作のもたつきがわずかに軽減されて再入場できるようになってきた。この時の画像。
……VRChat軽量版で展のブースがなくなっている!
正式版やClusterやSTYLYでは見えているのに?
運営サポートに問い合わせると「その件につきましては後ほどお知らせ致します」などと言われ、待っているうちに全プラットフォームから展の情報が消えた。そして、ブース配置図にあったはずのスペース「H-17 声かけ写真展」の表記も消えた。
ほーん。それで理由は説明なしですか。
アダルト要素もなく規約に抵触していないのに?
開場から排除まで、重すぎてよくわからないがどうやら展示期間3時間ってとこだな。
声かけ展ブース出展の証拠スクショを撮れたので、最低限のクエスト実績は取れたと思う。
VR史になかったことにはさせないし、こうしてメディアに残すことで文化に貢献したい。
その後、展の他にも同タイミングで排除されたブースがあり、そこではアダルト商品を扱っていたという情報も入ってきた。
規約違反のブースがあったため排除した、とする運営の説明はそれのことなのだろうが、声かけ展ブース排除に触れておらず、狡さがある。
出展者限定のDiscordサーバでは「説明なしに排除?」「ブース見本誌データをアップしてからチェック期間があったのに?」「声かけ写真展かよ、ブロック」と騒ぎになっていた。
各位、仲良く。
なぜ規約に違反しないものが途中で撤去されるのか、教えてくれ。スポンサーの圧力か忖度か、もっと他の権力か?
コミV運営は不自然に空いた声かけ展のスペースを詰めることもせず、クマのぬいぐるみも置かず、残りの日程をこなしていく。
ワタシは貧弱なマシンでアバター「Dan」をかぶり、その元声かけ展スペースに立つ。
声も出せないので無言でスペースを連打、ジャンプを繰り返した。抗議のポゴ・ダンスである。
VRポゴを見た文脈を知らないであろう一般来場者がこちらを見て、マネをしてジャンプしてくれる。
併設された「MEET MY GOODS」というオンデマンドグッズショップの声かけ展アカウントは最後まで削除されず生き残った(https://meetmygoods.com/koekakephoto)。運営者が即売会と別会社のためか、出展記念グッズのステッカーや缶バッジなどを売り続けることができた。出展記念なのでコミV終了と共に出品を閉じたが、今もアカウントは存続している。
凸攻撃を受けそうなイベンター諸氏は、MEET MY GOODS単体をsuzuri代わりに利用してみてはいかがだろうか。
展の来場者層もオタクだとは思うけど、バーチャル秋葉原くらいであんなに重くなるんだから一般人どころかオタクにもVRは難しいことがわかった。そしてアンチ側はVRも使わずメール凸で攻撃できるという圧倒的非対称性がある。
VR運営側は出展者を守るため凸耐性が求められるが、実態は耐性を欠いていた。
コロナ禍は収まらず、2021年に突入した。
展は初回から5周年を迎える。次回開催は望まれている。どうすればいいんだ?
この閉塞場面には、インプットが必要なのかもしれない。
緊急事態宣言解除のグダグダの中、展示やイベントを再開するアーティストも目につく。
大衆から望まれているメジャー級のアーティスト様は問題ないでしょうよ。
少数から望まれている怒られが発生しやすいマイナー勢はどうやってるの? ウィズコロナで特別なことしてるの? ただの風邪と思ってるの?
今期は実際にイベント開催してるところに飛び込んで、そのあたり聞いて回りたいと思う。写真展に限らず別ジャンルでも、参考にしますから!
もし貴方のイベントに器具田が来たら、マイナー勢同士ということでひとつ、仲良くしていただければ。
***
声かけ写真展が渡り歩いてきたイベント会場の凸耐性とコスパをまとめた。何らかのアート実績を残せれば勝ちとする(本連載各エピソードを参照)。このように「展示会場はアーティストの味方、信頼できる良きパートナーである」という常識は、可燃性のあるアーティストにはまったく通用しないことがわかる。会場利用により発生した凸で、会場主もアートに対するコミットメントが露呈する。アーティストを守るか、敵に回って会場の保身に走るか。中でも事前に展示内容を確認了解しておきながら、凸が来た瞬間手のひらを返す会場は最高にカッコ悪い。凸耐性は実際に凸を受けるまでわからない。アーティストたるもの、会場に裏切られてからが本番だ。そして会場主各位、アーティストを大切に。頼みましたよ。
ツイート- 器具田こする教授
- ラブドールとオナホールのR&Dアートユニット「器具田研究所」を運営。メーカーへのアドバイスや技術協力といった説明のしにくい業務でオナニー業界の異常進化を支えている。http://www.kiguda.net/
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- 第二十三回 「祝!北川景子、ご結婚パンチラ 共演者キラーの勲章を返上」
- 第二十四回 「歌姫・浜崎あゆみ、チラリどころかテレビ史上最大のパンティ面積を公開」
- 第二十五回 「小林麻耶、36歳のブリッコ超ミニ・熱烈応援」
- 第二十六回 「長澤まさみ、伊勢谷友介と破局で 再びミニスカ魂に火が着いた!」
- 第二十七回 「2016世相ブラ発表 あまりにも下半身がなおざりですよ」
- 第二十八回 「アメリカのアイスホッケーは肉弾戦だが試合途中の氷上整備は超ミニで息抜き」
- 第二十九回 「伊勢谷友介と破局してから やっぱりエロ全開の長澤まさみ」
- 第三十回 「ザイナ・ドリディと三田佳子」
- 第一回 「私のネタ作り」
- 第二回 「外でシコる」
- 第三回 「死者でシコれるか」
- 第四回 「偽装問題」
- 第五回 「人間に生まれて」
- 第六回 「息子がシコりまくっていたら」
- 第七回 「乳を吸うのはかっこ悪い?」
- 第八回 「Facebook」
- 第九回 「女に生まれ変わったら」
- 第十回 「シャブSEX」
- 第11回 「ワールドカップ」
- 第12回 「夏場は特にお気をつけください」
- 第13回 「ここにキスして」
- 第14回 「心霊写真」
- 第15回 「抜き差しならない」
- 第16回 「マンコ」
- 第17回 「ニュース」
- 第18回 「細い脚」
- 第19回 「マン毛」
- 第20回 「娘がヤリマンだったら」
- 第二十一回 「オナニー」
- 第二十二回 「ヘヴィメタル」
- 第二十三回 「便意」
- 第二十四回 「妄想SEX」
- 第二十五回 「報道被害」
- 第二十六回 「春画」
- 第二十七回 「夢精」
- 第二十八回 「再生」
- 第二十九回 「抱負」
- 第三十回 「ベッキー」
- 第一回 「綿100%、ピコレース付きの純白パンツ」
- 第二回 「3年間同棲した彼女のパンツ」
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- 第十三回 「Too Much Panty Business」
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- 第十三回 「第二部 序文」
- 第十四回 「皮オナ期のちんちんへ」
- 第十五回 「奨学金をオナホにつぎ込んだエロ大学生」
- 第十六回 「NASAの最先端無毛ツルツルまんこ」
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- 第九回 「菜々緒、プールでビキニのお約束ポーズよりも数倍エッチに悩殺、ビキニとミニスカのコラボ」
- 第十回 「2014年ミス・インターナショナル世界大会は日本で開催」
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- 第十二回 「テレ朝のエース候補だった才色兼備の女子アナ 野村真季の残念な凋落」
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- 第十四回 「吉瀬美智子 40歳で取材記者騒然の超ミニ・パンチラなのに翌日は報道規制の圧力で地味写真ばかり」
- 第十五回 「おいおい、台湾で開催されるモーターショーはとんでもないことになってるぞ」
- 第十六回 「かとうれいこ一日署長が魅せた熟れたミニスカ」
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- 第二十三回 「祝!北川景子、ご結婚パンチラ 共演者キラーの勲章を返上」
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- 第二十五回 「小林麻耶、36歳のブリッコ超ミニ・熱烈応援」
- 第二十六回 「長澤まさみ、伊勢谷友介と破局で 再びミニスカ魂に火が着いた!」
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