第六回 「ヤクザマンション」

 

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猛暑日だったその日も、日経平均株価は、1万4千円からズルズル下げていく、冴えない動きをしていた。

REIT指数も続落し、来年の春には不動産価格が上がってくるという私の読みが、現実となるような雰囲気は、マーケットを見る限りは微塵もなかった。

それでも私は、安くなったREITをコツコツと拾っていく。含み損は膨大だが、安くなった分、多く買えることの方が嬉しかった。

その一方で、現物のマンションも物色している。

狙っているのは、都心の区分所有物件だ。一つ一つ現地に足を運んで、管理人に、居住者の実態をヒアリングしていく。

歌舞伎町のあるマンションでは、2階から上は、居住専用と管理規約で決まっているが、「実際には、その手の事務所が沢山あります」と管理人は言った。

歌舞伎町に住もうとするような人種にとって、同じマンションに、ヤクザの事務所があることなど、大した問題ではないのかも知れない。

その管理人は、「それより、薬が切れたのか、精神が不安定なのかは分かりませんが、真夜中に奇声を上げる人がいて、苦情が多いことの方が困ってるんです」と、言った。

その日私は、池袋のマンションを一戸買ったが、その管理組合は、マンションから風俗店を追い出すことに苦慮していた。

通常、マンションやアパートのオーナーは不動産管理会社に、入居者の募集や、家賃管理を頼む。

これは、マンション自体の管理とは全く別なもので、手数料として、家賃の5%相当を払うのが一般的となっている。

複数の賃貸向けマンションやアパートを持っていると、その数に応じた不動産管理会社と付き合わなければならず、これは相当に面倒臭い。

今、そんな不動産管理会社の中で、急成長しているのが、リロ・ホールディング(8876)だ。

小田急沿線に強い東都や、東横線沿線に強いベスタス、仙台地盤のナカミチ、東京西部地盤のマイリアルティといった不動産管理会社を次々と買収する一方で、中核会社のリロケーション・ジャパンが、クライアント企業の従業員の転換期に、住む場所をサポートするサービスを展開している。

このご時勢で、11期連続の増配を実施。

私の予想通りに、不動産価格が上がれば、賃料も上昇し、それに応じて、不動産管理会社は売り上げが伸びていく。

と、いうわけで、8月23日、私は、4900円で、リロ・ホールディング(8876)の株も買った。

8月23日の午前11時15分現在、日経平均は前日比301円高と、久し振りに大幅反発。

今、日経平均は、4月2日と6月7日の下ヒゲをサポートする線と、5月23日と7月19日の上値をレジスタンスとする線に挟まれた三角保合いの真っ只中にある。

それと同時に、7月19日以降の安値を結んだ線と、高値を結んだ線で形成される、下降ウェッジの中で揉み合っている。

私の予想では、9月2日に、一目均衡表の遅行線が、応答するローソクを上抜けるとほぼ同時に、下降ウェッジからも上抜けて、その翌週には、三角保合いからも上抜け、長きに渡った調整高面から脱するとみている。

それが間違いかどうかは、間もなく分かる。

間違っていた時は、全てポジションを手仕舞いして、新たなチャンスを待つことになるだろう。

 

松本K
元諜報員。米諜報支援企業L3コミュニケーションの関連組織で訓練を受けたとされる。現在は、金融資産1000万ドル以上の投資家に対する情報提供を生業にする一方で、自身もマーケットに参加している。テルアビブ生まれでテヘラン在住、中国人民銀行の周小川とパイプを持つと言われているが、実態に関しては不明な部分が多い。かつて、雑誌『BUBKA』で連載記事を書いていたが、国際金融資本からの圧力で連載休止に追い込まれたという噂。

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