第十回 「オナホ超飲み会現場レポート」

 

■ ニャーン! コメンテーター席のきぐにゃんだお!!

2013年10月25日夜、東京・新宿の有名サブカルトークライブハウス「ロフトプラスワン」にて、オナホイベント「オナホ超飲み会 – またの名をオナホ超会議」(以後、超飲み会)が催された。

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※場所は台風2つが超接近していた新宿歌舞伎町、元コマ劇場前。

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ワタシはコメンテーターとしてゲストに呼ばれ、関西のオナホレビューサイト、オナホ動画.comのオナ郎さんと相席。初回生イベントということもあり、ワタシは警戒しておとなしくしていた。たぶん、オナホ初心者さんには謎キャラのままだったと思う。ついんてだし。

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※開始前の記念撮影。隣はアナルの佐藤さん。

 

オナホールをメインに打ち出したイベントというと、TENGAやトイズハートなどが単独で、ファン感謝祭のようなものを散発的に開催している。そうではなくライバル同士、複数メーカーが集まることは珍しい。ビジネスに直結する見本市くらいなものだ。

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※物販の売れ行きが出演者の直接の収入になるということで、器具田教授も気が気でない。

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オナホが一大娯楽ビジネスとして認知されるにつれ、増加したエンドユーザーはオナホ業界について興味が強まるし、メーカー側の説明責任も重くなってくる。

超飲み会は、熱心なマニアが求めていたと同時にライト層、性具に寛容な層が増えたから成立したと言える。オナホの業界話に誘われる好事家がそれほどいる事態なのだ。すごい。

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会場は台風が近づいている中、100人を超える入場者で盛況満員だった。壇上のメーカーはエグゼ、Gプロジェクト、タマトイズ、トイズハート、日暮里ギフト/Tokyo Libido、ホットパワーズ、マジックアイズ。それに新興メーカーのトベルカとキテルキテルから動画が上映された。

意外にも、TENGAや関西を基盤とするメーカーは見られなかった。おそらくTENGAは一般のオナホから距離を置いてブランドイメージを守る考えであろう。他に、お忍びで来るオナホ業界人がちらほら。

 

■ オナホって、パクリとオマージュと、それからパロディでできている。

トークライブの内容はユルめ。オナホを作っている人が目の前でしゃべっている、そのシチュエーションだけで面白いし、テレビ番組を見るような感じでロフトプラスワンに来るカジュアル層には、その方が好ましいのかも知れない。主催者もユルい感じで飲み食いしよう、と呼びかけていた。

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メーカー担当者の新しい新作アピール、自社の失敗作エピソード、他社製品に対する羨望。他社のアイディアをパク…いやオマージュして作ったのがコレです、みたいな事情。売れたオナホはユーザーにとってもいいオナホなんだろうけど、商売人ならではの成績重視な話になっていた。

ワタシとしては、オナホ稼業はある意味夢を売る商売なわけで、作り手が抱くエロい夢も聞いてみたかった。手の内を明かすことにつながるからあまり言えないのかなあ。サブカル的な旨味はいま一歩。

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そんな中で、業界通ぶりたいオタクが喜びそうなネタをピックアップ。

アニパロオナホに注力することで有名な日暮里ギフトとタマトイズ。担当者は当然ガチのアニオタで、元ネタを熟知した上でのオナホ化なのだそうだ。そこを見込んで、2社に今期アニメについて語るコーナーが設けられた。

どの作品を途中で切るかといったフツーの展開に加え、どのアニメでパロるか、もし滑って売れなかったらどうするか、といった話題となる。

アニメは放映が終われば旬は短い。元ネタからのクレームを怖がる以前に、旬が過ぎる前に資金を回収できるかというリスクがでかい。

これが弱小メーカーがパロオナホを出さない理由だ。

日暮里ギフトは目利きの問題だとし、たとえば「けいおん!」は2009年の作品だが、そのパロディである「ばんぎゃ!!」は2013年現在も変わらず売れていると指摘した。軽音部からのバンドギャルである。けいおんパロではばんぎゃに加え「あずにゃんぺろぺろ」からの「あんずにゃんペロペローション」など派生商品も掘り下げている。また、売れなかった場合の外道手段も披露した。詳しくは書かないけど。


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ばんぎゃ!! みーこ

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ばんぎゃ!! あんず

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ばんぎゃ!! ゆっこ

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あんずにゃんペロペローション

そんな日暮里ギフトが嫉妬する他社製品は、ホットパワーズの「佐藤のアナル」だという。日暮里は歴史のある大手だけに、無名従業員の男のアナルを商品化するほどの冒険ができない。

ワタシは、でも足コキホール「ソックソクにしてあげる」はかなりの冒険だったじゃない? とツッコミを入れてみた。司会からも「軍手でシコればいい」と追い打ちをかけられ、困惑していた。

ジョークグッズはちゃんとジョークになっているか、真摯に向き合っていきたい。


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足コキホール ソックソクにしてあげる!
※もはやホールとは呼べない形状のオナホ。市販の赤ちゃん用靴下を履かせ、その上にローションを染み込ませてちんちんを刺激する。

タマトイズと言えば、オナホ以外に奇抜な臭いのエロ香水でも有名だ。ネーミングの形式が「(人物属性)の(部位)の匂い」と統一されていて、狂気を放っている。

これは変な香水が最初にあって、それに合うイメージで後から名前を付けたのか、それともこういう匂いにしようと決めてから匂いを調合したのか? と聞いてみた。

答えは後者、つまりコンセプトが先行と聞いてオドロキ。

「少女の頭皮の匂い」「女子校生の潮吹きの匂い」というオーダーを受けて調香師が作る。となると、調香師は難題を押し付けられてかわいそうな感じがしないでもないような。いや、一般香水でも都会的だとか知的だとか漠然としたイメージが付けられるから事情は変わらないのか…と考えさせられた。


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少女の頭皮の匂い 【HTRC3】

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女子校生の潮吹きの匂い 【HTRC3】
※ネーミングと実際の匂いが合っているかは人の感じ方による。実在しないようなネーミングだとフリーダムでカオス、ジョークとしても面白い。

 

■ クリエイターの場としてのオナホ業界

複数のメーカーが集まる超飲み会は、パッケージや原型の仕事をゲットするための売り込みの場でもあった。

ポートフォリオを抱えた何人かの絵師さん、試作を持ち込んだ人形マニアの人も見かけた。もちろん器具田研究所もメーカーじゃないけどクリエイターとの連携を重視。名刺交換させていただきましたお!

基本的に、アーティストの作品持ち込みや、履歴書の送付は各メーカーとも歓迎している。普通に、学生の就職活動が来ることもあるそうだ。

もちろん楽な仕事ではない。取引先の傲慢な要求への不満も語られた。新製品リリースが遅れる事情など、就職応募する側も引き締まる。

じゃあどんな人材が欲しいのかという話になり、コメンテーター席のオナ郎さんが「私でも就職できますか」と突っ込むと、メーカー側もまんざらでもない反応だった。

器具田が同じ質問をしたところ、やんわりと断られたでござる。とんがりすぎてるから。パンクだから。うはは。

普通の人には、主力ブランド「Ju-C」を展開するGプロジェクトからわかりやすいアドバイスを。一般ユーザーが感じる不満を率直に感じられる人がいいとのこと。いわゆる「開発者のオナニー」を戒めるスタンス、ユーザーのオナニーを優先せよという正論だ。


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G PROJECT Ju-C 1 ローション・収納袋付き
 

他にもペニバン装着AV女優によるオナホ試用演技やオナホ物販、茶番ムービー上映などユルく楽しめるコーナーがあった。全体として赤字にならなかったので2回目の可能性も出てきたという。

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※出演したのは左から、AV男優ゴローちゃん。大城かえでさん。琥珀うたさん。AV監督decさん。みくらちゃん。

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※左、大城かえでさん。右、琥珀うたさん。

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※左、大城かえでさん。右、琥珀うたさん。一番右、器具田こするさん。

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※左、大城かえでさん。右、琥珀うたさん。一番右、器具田こするさん。

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※左、大城かえでさん。右、琥珀うたさん。一番左、器具田こするさん。

 

飲み会とはいえ、オナホがテーマだけにぼっちで行くのが基本。コミュ障でも問題なし。ハードルは低かったしオナホ女子も結構いた。今後も進化を期待したいイベントですね。

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器具田こする教授
ラブドールとオナホールのR&Dアートユニット「器具田研究所」を運営。メーカーへのアドバイスや技術協力といった説明のしにくい業務でオナニー業界の異常進化を支えている。http://www.kiguda.net/

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