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第十三話

 

柏木が、東武線に乗って、館林に向かったのは、東京に記録的な大雪が降った3日後のことだった。

初めての館林駅に降りた柏木は、まず、出来て間もないという、日清製粉の博物館に寄った。

館林という街は、どうやら日清製粉の発祥の地であるらしい。

創業者が、ドイツから輸入したという古めかしい機械を眺めながらも、柏木は、『マル秘基地』のことばかり考えていた。

時折、『群馬アンダー掲示板』を開き、『マル秘基地』のスレッドに新しい書き込みがないかをチェックする。

平日の昼間とあってか、博物館には柏木以外の観覧者の姿はない。1時間余り、掲示物を見て回っていた柏木が、そろそろ居辛くなってきたと思い始めた頃、『マル秘基地』のスレッドに、その日はじめての書き込みがあった。

今日の夕方6時頃に行きます。40代、パイパン、リング。上下の穴に種汁を好きなだけブチ込んでください。

それは、明らかにゲイからの書き込みだった。

『マル秘基地』を、女装子の発展場だと思ってやってきた柏木には、期待外れではあった。しかし、見知らぬ土地の発展場で何が起きるのかに興味があった柏木は、夕方6時に合わせて『マル秘基地』に行ってみることに決めた。

時計を見ると、午後5時15分。

柏木は、博物館の中の多目的トイレに入ると、約30分掛けて、ゆきに変身した。

荷物を駅のコインロッカーに預け、『マル秘基地』がある歓楽街へと歩いていく。

シャーベット状になった路上の雪に足を取られながら、ゴリラビルと呼ばれる館林の歓楽街の中心にある風俗ビルの前に着いたのは、6時を少し回った頃だった。

ゴリラビルのすぐ近くのマンションの2階のテナント部分に、『マル秘基地』はあった。

隣りのテナントは、韓国エステの『レモン』。

その界隈を包む猥褻な空気に、発展場馴れしているゆきも、さすがに足がすくむ。

それでも意を決して『マル秘基地』の入口のガラス扉を押して中に入ると、フロントにいたチョビ髭の中年男が、「いらっしゃいませ」と声を掛けてきた。

チョビ髭男は、ゆきを一瞥すると、ゆきが女装子であることを即座に理解したようで、「そちらの自動販売機で入場券を買ってくださいね。今、何人かお客さんみえてますよ」

と、優しく言った。

ゆきは、3時間2千円の券を買う。

そして、フロントの奥に広がる棚の中からDVDを4枚選んで、入場券と共にフロントに出した。

フロントの男は、小さなカゴに、DVDと伝票、それにコンドームとローションを入れると、

「9番でお願いしますね。ゆっくり休んでください」

と、言って、カゴをゆきに手渡した。

ここまでは、棚に並んでいるDVDの数が少ない他は、都内にある「ミスト」のようなDVDボックスと同じだった。

ゆきは、カゴを手に持って、個室が並ぶ廊下へと歩いて行く。

そこには、9個のドアしかなく、9番の個室は、左手の一番奥だった。

9個のドアのうち、4つは半開きになっていた。

そのうちのひとつをチラッと覗くと、女装した男が、アイマスクをしてスカートを捲り上げ、露出した下半身のイチモツを手で扱いていた。

そして、8番目の個室は、男が2人いて、お互いのモノを握り合っている様子が見えた。

9番の部屋に入ったゆきは、他の客がやっていたように、個室のドアを少し開けてみた。

恐らく、『マル秘基地』では、そうすることがプレイOKのサインだと思ったからだ。

改めて『群馬アンダー掲示板』を開いてみると、『マル秘基地』のスレッドに7つも書き込みが増えていた。

ゆきも、

「エッチな純男さん、遊んでください。27歳完女。」と書き込みした。

完女とは、完全女装子のことだ。下着女装や首下女装というのもいる中で、完女は、当然ながら女装子狙いの純男には人気が高い。

5分経っても、誰も9番の部屋へは入って来なかったが、ゆきの書き込みには、早くもレスが付いていた。

49歳の変態純男です。完女さんのオシッコ飲ませていただけませんか。

こうした飲尿マニアのマゾ男が存在することはゆきも知っていた。

かつて、新中野の『abc』で、そんな男の口の中に小便を注いでやったこともある。

ゆきは、

私でよかったら喜んで。変態サン好きです。9番にいます。

と、返事を書いた。

その直後から、何人かが、ゆきの個室をドアの隙間から覗きに来た。ゆきが「9番にいます」と書いたのを見たのだろう。

ゆきは、いつ飲尿男が訪ねてくるのだろうかと、気持ちが落ち着かなかった。

手鏡を見ながら、アイラインを引き直し、DVDを制服女子高生モノに替えて、部屋の明かりを落とした。

それから30分が経った頃だった。

コンコン。

すでに半開きになっているドアがノックされた。

リクライニングチアーに座っていたゆきが振り返ると、スーツ姿の男が立っていた。

「入ってもよろしいですか。ネットに書いた者です」

男は礼儀正しかった。

「太田から車を飛ばしてきたんですよ。途中、122号線が少し混んでて、遅くなってしまい申し訳ありません」

男の顔が、液晶テレビの光に映し出されてはっきりと見えた時、ゆきは、はっとした。

平松に似ていたからだ。

そう言えば、柏木が初めてこの世界を知った日、近所のスーパー銭湯の瞑想サウナで見た男も、確かに平松に似ていた。

あの時は、全くの別人だったから、今回も他人の空似だろう。

ゆきが驚いている様子を察した男は、「想像していたタイプと違いましたか。イケメンじゃないからダメかな」と言いながらも、9番の個室に入ってきた。

ゆきは、慌てて、「いえ、紳士的でステキな方です。こんな方に飲んでいただくなんて何だか悪いわ」と、返事をした。

それ以上の会話はなかった。

男は、スーツの上着を脱いでハンガーに掛けると、ゆきの前にしゃがんで顔を上げ、大きく口を開いた。

ゆきは、リクライニングチアーから降りて、男の前に立つと、白いレースのスカートを捲って、女物のパンティの脇からイチモツを出した。

やっぱり平松に似ている。

しかし、あの平松に小便を飲ませると思えば、それはそれで愉快なことだった。

その時、ゆきは、もしやと思った。

男がしっかり目を閉じていることを確信すると、男の後ろに掛かっているスーツに手を伸ばし、パラッと捲った。

 

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一瞬だったが、そこに刺繍されていたローマ字を、ゆきはしっかりと認識できた。

Y.Hiramatsu

もしかしたら、平松の兄かも知れない。

ゆきは、そう思いながら、男の口の中に小便をドボドボと注いでやった。

男の唇の脇から小便が溢れ、首筋に伝っていった。

平松の兄を汚しているのだと思うと、ゆきのイチモツは硬くなって天井を向いてしまい、もうそれ以上、小便は出ることはなかった。

 

志井愛英
小説家。昭和41年生まれ。同性愛者、風俗嬢、少数民族、異端芸術家など、マイノリティを題材にした作品が多い。一部の機関誌のみでしか連載しておらず、広く一般に向けた作品は本篇が初。

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