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第二十四話

 

 

 ホテルベルクラシックに着いた平松は、兄が泊まっている部屋のドアをノックした。

 だが、兄からの応答はない。

 時刻は午前3時を過ぎていた。3日後に皆既日食になるはずの12日目の月は、西の空にオレンジ色に光っていた。

 新大久保にある「グラジオラス」にも、もう5人しか客が残っていなかった。そのうちの3人は、ソファーに横たわって寝息を立てている。

 1年前、「グラジオラス」がまだ六本木にあった頃、平松の兄は一度だけ、その重たい扉を開けたことがあった。

 土曜から水曜日はゲイの発展場に、木曜と金曜は、女装子と純男の発展場になっていたが、新大久保に移ってからは、毎日が女装子と純男の発展場としてオープンしていた。

 そして、今、平松の兄は、一番奥まった、暗くベッドのある部屋の小さなソファーの上で、福岡から来たという30代の女装子のイチモツを口に含んでいた。

 つい数時間前、「駒込ラドンセンター」で初老の男のモノを喉の奥まで咥え、口の中で生臭い体液を受けてそれを飲んだばかりだったが、ゲイではないと自分では思っている平松の兄は、女装子のモノで、どうしても口直しがしたかったのだ。

 弟は、ホテルのロビーのソファに座り込み兄の帰りを待った。

 2千万円は人手に渡らずには済んだが、有田からは例のものを受け取れていない。もしも遺族がそれを見つけ、会社に届けでもしたら。

 「先生」は、ゆっくりと自分のイチモツをナースに出し入れしながら、快感に堪え、射精を我慢しているゆきに言った。

 「ゆきさん、そのまま出しちゃっても悪くないんですが、その変態ちゃん、カルピス飲むのが好きだから、下の口じゃなくて、上の口に出してやって欲しいんですよ」

 柏木由紀似の美人キャバ嬢が飲んでくれるのなら、それはそれでゆきにとって、この上なく嬉しいことだ。

 「あっ、そうだ。ゆきさん、やっぱりこのナースの中に出してやってもらえませんか。そして、中に溜まったモノを変態ちゃんに吸い取らせるから」

 「先生」はそう言うと、自分のモノをナースから抜いた。

 ナースの粘液でドロドロになっているイチモツを口元に出しだされた京華は、下の穴でゆきのモノをキュッと締めつけながら、「先生」を喉の奥まで咥え込んだ。

 「さあ、ゆきさん、変態ちゃんから抜いて、苺香の中に挿れて、好きな時に奥に出して」

 「先生」に言われてゆきは、未練を感じながらもキャバ嬢から抜いた。

 そり返っていたゆきのモノは、魚が跳ねるように京華の割れ目から飛び出してきた。

 それを見た「先生」は、「本当は私が頂きたいよ、ゆきさんのカルピス」と言いながら、京華の口からイチモツを抜き取ると、京華の尻をぺチンと叩いて、四つん這いにさせていった。

 ゆきは、仰向けになっていたナースの裂け目に自分のモノを押し込んだ。

 「先生」は、京華のバッグから、自分のモノを挿れた。

 平松の兄は、「オシッコ飲みたいな」と、小さな声で言った。

 「え、ここで?」

 女装子は少し驚いたような声でそう聞いたが、それは平松の兄の望みを拒んだものでは決してなかった。

 「こぼさないように全部飲み干すから、少しずつ出して」

 「うん」

 この瞬間が平松の兄にとって、最も興奮する瞬間だった。

 「じゃあ、出すわね。恥ずかしい」

 女装子がそう言ってから、口の中でアンモニア臭を感じるまでに、5秒ほどのタイムラグがあった。

 その5秒の間、嫌悪と恐怖と自虐と好奇の情念が平松の兄の脳内に大量のドーパミンを分泌させた。

 口の中に生温かい液体が充満し始める直前まで、平松金型工業の社長のイチモツは、まるで17歳のそれのように、反り返って天井を向いていた。

 だが、舌全体に塩辛い小便の味が拡がる頃には、ドーパミンは枯れ、約束してしまった「全て飲み干す」という行為を遂行しなければならないという苦痛に、イチモツは蓑虫のような形に変わってしまっていた。

 全てを飲み干した兄は、ロッカー室に向かい服を着て、「グラジオラス」を出た。

 自販機でお茶を買い、うがいをして、路上に吐いた。

 平松の兄は、発展場を出る度に、若い頃の自分を思い出す。

 高校生だった当時、自室で自慰に耽っていた兄は、射精直前になると、自分で出したものを飲んでみたいとよく思った。

 「今日こそ絶対に飲むぞ」と決めた時、右手で握っていたものが一層硬さを増した。

 しかし、その情熱は射精と同時に消滅した。

 そんな兄が、初めて男の生臭い液体を飲んだのは、わずか2年前のことだった。

 場所は、JR神田駅近くにあるDVDボックス「宝舟」。

 ネット掲示板を頼りに、神田駅北口にある「宝舟」に行った兄は、女装子に会うことができず、自分で「純男さんでもいいのでしゃぶらせてください」と掲示板に書き込んだ。

 その時、兄がいた5階の個室のドアをノックしたのは、肌が浅黒い、チェックのシャツを着た男だった。

 

 meisou (1)

 

 

志井愛英
小説家。昭和41年生まれ。同性愛者、風俗嬢、少数民族、異端芸術家など、マイノリティを題材にした作品が多い。一部の機関誌のみでしか連載しておらず、広く一般に向けた作品は本篇が初。

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