第十回 「地球の裏側のパンツ泥棒事情」
「下着泥棒は日本特有の陰湿な犯罪」
「セックスに消極的な日本男性の気質が表れている」
「あんな布切れを手に入れて何が嬉しいのか」
とあるサイトの記事によると、日本在住の外国人はよくそんなことを言うらしい。確かに、我が国では頻繁に下着の窃盗事件が報道されている。教師や警察官や医師など、それなりに社会的地位がある者が犯人というケースも珍しくなく、外国人の目にそんな状況が奇異に映るのは、まあ分からなくもない。
だが、下着愛好家は世界中に存在するに決まっているし、どこの国でも多かれ少なかれ下着の窃盗はあるだろう。にも関わらず、地球上のパンティを全て日本人が窃取しているとでも言わんばかりの、その傲慢な言い草は何 だ。私がこの世で一番嫌いな行為、それは「責任転嫁」だ。自分のことを棚に上げ、他人を攻撃することだけに精を出す人間の何と多いことか。第一、たかが下着泥棒で国民性など語ってほしくない。外国人がyoutubeにアップした東京観光の動画には、必ず「wow…ゴミ一つ落ちてない。日本人は何て清潔なんだ!」といった馬鹿丸出しのコメントが散見されるが、私が生まれ育った荒川区の街には未だに路上生活者が溢れているし、私自身、部屋の掃除は一昨年の大晦日以来していない。要は、体よくトリミングされた情報を真に受けて表層的な印象を語ることの愚かさを知れ、ということだ。そんな憤りを覚えつつネットのニュースを見ていると、こんな見出しが目に飛び込んで来た。
「パンティー強盗」の警官6人を逮捕、ブラジル(AFP=時事)
サンパウロの路地裏で、アドリアナ・リマ似の美女が警官に取り囲まれている。美女はガタガタと膝を震わせ「お願い、許して」と懇願するが、6人の警官はくちゃくちゃとガムを噛みながら薄ら笑いを浮かべている。
「いいから早く脱ぐんだ」
痺れを切らした警官の1人・ペドロが腰の警棒を抜く素振りを見せると、美女は観念したように「やめて。わかったわ」と呟き、ミニスカートの裾に手を入れる。非の打ちどころが無いほど端正な顔には恥辱と憤りの表情が浮かんでいるが、それが余計に美貌を映えさせるのだから皮肉なものだ。固唾を呑む警官たち。一瞬の躊躇いの後、細く引き締まった太股にスルスルと降りて来たのは黒いレースのTバックだった。ヒュ~。6人の中で最も若いアントニオが思わず口笛を吹く。「早く嗅がせろよ」と舞い上がるアントニオを横目に、勤続10年のカルロスは妻エリスのことを思い浮かべた。家事は怠け放題で、惰眠を貪ってばかりのエリス。毎日シェラスコばかり食べ、ぶくぶくと太っていくエリス。結婚当初60kgに満たなかった体重は、今や90kgを超えようとしている。5平米にも満たない小さな庭に干されたLLサイズのパンティはゴムが伸び切り、まるでボロ雑巾のようだ。それに比べ、今目の前にあるTバックの何と美しいことか─。
美女は目に涙を浮かべ、くしゅっと丸めたパンティを警官に差し出す。
「よし、いい子だ。用は済んだぜ、もう帰りな」
リーダー格の警官・ジョゼがそう言って美女を帰し、手に入れたばかりのTバックのクロッチを、すーっとひと嗅ぎする。
「ああ、いい匂いだぜ。ブリガデイロよりスイートだ」
ジョゼが率直な感想を口にした後、6人はこんな会話を交わす。
「おい、独り占めするなよ。早く俺にも嗅がせろ」
「焦るなよ。それはそうと、これで何枚目だ?」
「17枚だ。きっちり6等分するには、あと2枚」
「あと1枚だろ。パウロ、学校で割り算を習わなかったのか?」
「…割り算って何だ?」
「割り算なんて出来なくても勤まるのがブラジルの警官だ。そうだろ?」
「その通り。あと1枚で、1人3枚か。ハットトリックだな。ネイマールみたいだぜ」
「お前がネイマールなら、俺はオスカル」
「俺はロナウドだ」
「じゃあ俺はロナウジーニョ」
「俺はロマーリオだな」
「俺はペレ」
「ペレは反則だろ。神様だぜ。お前はせいぜいロビーニョだ」
「分かったよ。ロビーニョも悪いプレイヤーじゃない」
「OK、最強の布陣だな。さあ、もうひと仕事だ」
「vamos!」
そして彼らはこの夜最後のターゲットを探しに、闇の中に消えて行くの だ。
「La la la~la~La la la la~la la~la~」
アントニオが不意にメロディーを口ずさむ。セルジオ・メンデスの『Tristeza』だ。
「『悲しみよさようなら』か。いいセレクトだぜ」
次第に6人の歌声は大きくなり、足取りも軽やかになってくる。
数10メートル先には、ジゼル・ブンチェン似の美女が歩いている。背後から世界最凶のストライカー軍団が迫っているとも知らずに─。
私の頭には一瞬のうちにそんな情景が浮かび上がったが、記事本文を確認すると、事実は実につまらないものだった。6人の警官は女性用下着を運搬中のトラックを制止し、運転手を監禁したうえ9000レアル(約40万円)と荷台の下着を脅し取ったという。奪った下着はそのまま転売していたというから、彼らにパンティに対する愛着は無く、金になればそれがコーヒーでもサトウキビでもよかったのだ。南米らしいと言えばそうなのかもしれないが、情緒もインテリジェンスも感じさせない大味で陳腐な事件の顛末に、私はひどく落胆した。
こんな美女がパンティを強奪されるシーンを想像していたのに…!
ツイート- 住吉トラ象
- 元エロ本編集者。現在は派遣労働者。60~70年代のソウルミュージック、イイ女のパンツが好きです。座右の銘は「ニセモノでも質の高いものは、くだらない本物よりずっといい」(江戸アケミ)
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- 第十八回 「ココナツオナホ」
- 第十九回 「オナーパンツ」
- 第二十回 「家電でオナマシン【GuWOOO】」
- 第二十一回 「コバヤシ君」
- 第二十二回特別編 「器具田教授に17の質問」
- 第二十三回 「アダルトVRフェスタ」
- 第一回 「マリークワントとツィッギー」
- 第二回 「麻生真美子」
- 第三回 「皇太子ご成婚報道パンチラ 田丸美寿々」
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- 第五回 「キャサリン妃、至る所で捲れ上がるスカート」
- 第六回 「熟女ミニスカ推進派の星、 NHKアナ有働由美子、再び勝負しろ」
- 第七回 「美脚パンチラの闘士、米倉涼子 期待を裏切らない超ミニ・パンチラ」
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- 第二十三回 「祝!北川景子、ご結婚パンチラ 共演者キラーの勲章を返上」
- 第二十四回 「歌姫・浜崎あゆみ、チラリどころかテレビ史上最大のパンティ面積を公開」
- 第二十五回 「小林麻耶、36歳のブリッコ超ミニ・熱烈応援」
- 第二十六回 「長澤まさみ、伊勢谷友介と破局で 再びミニスカ魂に火が着いた!」
- 第二十七回 「2016世相ブラ発表 あまりにも下半身がなおざりですよ」
- 第二十八回 「アメリカのアイスホッケーは肉弾戦だが試合途中の氷上整備は超ミニで息抜き」
- 第二十九回 「伊勢谷友介と破局してから やっぱりエロ全開の長澤まさみ」
- 第三十回 「ザイナ・ドリディと三田佳子」
- 第一回 「私のネタ作り」
- 第二回 「外でシコる」
- 第三回 「死者でシコれるか」
- 第四回 「偽装問題」
- 第五回 「人間に生まれて」
- 第六回 「息子がシコりまくっていたら」
- 第七回 「乳を吸うのはかっこ悪い?」
- 第八回 「Facebook」
- 第九回 「女に生まれ変わったら」
- 第十回 「シャブSEX」
- 第11回 「ワールドカップ」
- 第12回 「夏場は特にお気をつけください」
- 第13回 「ここにキスして」
- 第14回 「心霊写真」
- 第15回 「抜き差しならない」
- 第16回 「マンコ」
- 第17回 「ニュース」
- 第18回 「細い脚」
- 第19回 「マン毛」
- 第20回 「娘がヤリマンだったら」
- 第二十一回 「オナニー」
- 第二十二回 「ヘヴィメタル」
- 第二十三回 「便意」
- 第二十四回 「妄想SEX」
- 第二十五回 「報道被害」
- 第二十六回 「春画」
- 第二十七回 「夢精」
- 第二十八回 「再生」
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- 第三十回 「ベッキー」
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