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第三回 「1997年(1) ~『コン・エアー』『エアフォース・ワン』~」

 

1997年。通称「発破元年」と呼ばれるこの年は、第1回で取り上げた『ロング・キス・グッドナイト』をはじめ数多の爆破映画が公開された。97年と言えば、ガメラ歴で言うところのレギオン襲来の年、ターミネーターで言えばスカイネットが自我に目覚めた年に当たる。道理で熱いわけである。

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熱い

 

『タイタニック』の大ヒットが象徴するように、そもそも97年は洋画の最盛期と言って過言ではない。いかに豊作だったかは、類似作品の多さからも窺い知ることが出来る。例えばモンスターパニック映画では『レリック』『ミミック』『アナコンダ』、SFコメディでは『マーズ・アタック!』『メン・イン・ブラック』と言った具合に、多くの「余剰米」が生じた。マーケティングとしては決して好ましい状況ではないものの、結果としてこの熾烈なバトルは多くの傑作を生み、ジャンル映画の活性化を促すこととなった。

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中でも「航空パニック映画」は大躍進を遂げる。先陣を切ったのは『乱気流/タービュランス』というB級映画だが、ハイジャック×乱気流というごった煮感が観客のニーズにフィットせず、失敗に終わった。更に遡れば前年の『エグゼグティブ・デシジョン』も失敗している。カート・ラッセルにスティーブン・セガールという2大スターを起用しながら、こちらもグズグズ。キレの悪いウンコのような出来栄えであった。一説にはセガールの取り扱いを誤ったことが原因と言われているが、真偽のほどは実際に本編をご確認いただきたい。

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背水の陣で投じた新聞広告(※ネタバレ注意)

 

余談はさておき、そんな状況にあって公開されたのが『コン・エアー』と『エアフォース・ワン』である。どちらも配給はブエナビスタ、公開時期もほぼ同時と言う、一歩間違えば大事故必至の博打マーケティングだったにも関わらず、蓋を開けてみれば大当たり。勝算のカギは、その差別化にあった。どちらも同じハイジャックものながら、前者は囚人護送機、後者は大統領専用機という全く正反対の舞台設定を敷いている。およそ馴染みのない特異なロケーションも、観客の興味を引いた大きな要因であろう。何より爆破の観点からも両作品は、個性豊かでコクのある味を醸し出している。

conair

まずは『コン・エアー』から紹介したい。『アウトレイジ』のさきがけとも言える「全員悪人」のヒャッハーな映画である。ストーリーは単純明快、囚人が乗っ取った護送機を奪還する、というもの。だが、異様なまでのキャラの濃さがストーリーに華を添えている。

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通称”クレイジー・ビリー”。女房の家族を皆殺しにした殺人犯

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通称”ダイアモンド・ドッグ”。元ブラック・ゲリラ軍の将軍

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通称”ジョニー・23”。強姦魔。演じるダニー・トレホ自身も長いムショ歴あり

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通称”猛毒のサイラス”。囚人のリーダー。殺害数計測不能の悪魔超人

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キャメロン・ポー。主人公の元レンジャー隊員。ロンゲの似合わなさは極悪級

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ガーランド・グリーン。囚人も恐れる37人殺し。本作きってのサイコパス

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悪党×火炎。97年を代表する1枚である

 

リーダーのサイラスが機を乗っ取り、ポーがそれを阻止するという筋書きである。ラーナー飛行場での対警官隊ドッグファイト、およびクライマックスのラスベガス不時着シーンが最大の爆破スポットとなっている。それでは実際にご覧頂きたい。

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囚人逮捕の為に駆けつけた警官隊

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護送機の保管庫から奪った武器で待ち構える囚人たち。何故ランチャーが

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パーティーの始まり

 

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攻撃を受けベガスへ舞い降りる守護天使コン・エアー

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こちらはミニチュア撮影。車を弾き飛ばしながら不時着

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もちろん何か色々なものが爆発炎上

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カジノのカマを掘るコン・エアー。こちらは廃屋となった本物のカジノで撮影された

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消防車をジャックし逃亡するサイラス一味。ポーが白バイで追撃する

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最後は現金輸送車のカマを掘り爆発。炎に舞う札と人体の飛躍は芸術の域に達している

 

次いで『エアフォース・ワン』。「空の要塞」と謳われる大統領専用機”エアフォース・ワン”がテロリストに占拠される。立ち向かうのはハリソン・フォード演じる大統領という、ザ・アメリカ映画だ。

airforceone

こちらは打って変わってコンスタンスに爆破シーンを挟んでくれる親切設計。その絶妙な配分と言い、爆破のトーンと言い、爆破映画としては極めて上品な部類に入る。肝の爆炎は、前回紹介したマイケル・ベイや『コン・エアー』のような飢えた炎ではなく、色味を抑えた謙虚な装い。イチオシは何と言っても給油機大爆破の瞬間だ。闇夜に炸裂する白んだ炎の美しさと、空に舞い降りたクリオネの如き爆炎の佇まいに目を奪われる。奇跡のような様式美を備えたレア爆破なので刮目して頂きたい。

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冒頭の掴みとなる独裁者の捕獲作戦。これが後にハイジャックを誘発することとなる

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白い炎が闇夜に映える

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ゲイリー・オールドマン演じるテロリストが大統領専用機をジャック

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テロリストをかく乱すべく、機内から大統領直々に攻撃命令が下る

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チャフ(電子妨害装置)が作動

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爆発。「見て」と言わんばかりの構図とコントラストの美しさ。震えが止まらない

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給油機(火種)が到来

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もちろんこうなって、

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こうなる

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炎に青の配色。「これはただの爆破ではない」多くのファンがそう直感したと言う

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これが神の御業たる「炎の天使」。この美しさはもはや事故に等しい

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下からのアングルも心憎い。2機がバンズで「火炎バーガー」の出来上がりだ

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はみ出る炎のパテ。このあたりで多くのファンは失禁脱落した

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大統領ナメの燃え盛る機体。どこまでも心憎い構図攻めに悶絶

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給油機パート了。歴代爆破ベストテン入りは必至である

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ようやく機を奪還したものの、ミグ襲来

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迎え撃つF-15編隊

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美しすぎる空中戦。最後の最後までファン泣かせの憎い映画であった

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エアフォース・ワンもチャフで奮闘

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大統領を守るべく身を挺して盾となる英雄

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劣勢となり逃亡を図る敵軍

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“Not so fast,you son of a bitch!”

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YEAAAAAHHHHH

 

 

発破爆破ノ介
『バックドラフト』を観たあの日から、爆発映画の虜になって云十年。CGがはびこる現代に『本物の爆発』にこだわる求道者。モチロン携帯着信音も爆発音。

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