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第二回 「その男、凶暴につき」

 

北野映画ではない。
マイケル・ベイのことだ。

わざわざ紹介する必要もないだろう。「破壊大帝」の異名を持つ爆破界の大御所である。ご存じない方も、『アルマゲドン』や『トランスフォーマー』の監督と言えばピンとくるはずだ。画面上で常に何かを爆破していなければ気が済まない、ハリウッドきっての過激派である。

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漂うサイコ臭

 

その作風は至ってシンプルで、「爆破」「車」「戦う男たち」。これだけ。あとは適当に「特殊部隊」や「美女」で味付けすれば出来上がりという、実に客を舐めきった監督である。だが、それがいい。

さて、ひとえに爆破といっても、色・ツヤ・照り・形などその表情は様々で、指紋同様に同じものは二つとあり得ない。そんな一瞬の芸術をいかに切り取るか。これが、監督のセンスである。

例えば前回紹介したレニー・ハーリンは、ハイスピードカメラや細かいカット割でじっくり炎の育ち方を映し出す粘着気質。言うなれば一回のセックスに全力を尽くすタイプだ。

一方のマイケル・ベイは、質より数を重視するプレイボーイタイプで、いちいち一つの爆炎を追いかけたりはしない。矢継ぎ早に爆破しては被写体を乗り換えていく。そのため、炎の魅せ方に関してはやや淡白な印象を受けるが一旦爆破シーンが始まるとなかなか終わらない。極めて絶倫体質と言える。

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土方気質の荒々しい爆破が通を唸らせる。黒煙交じりの赤茶けた炎がベイの好みだ

 

下の図は、親切な誰かがベイ作品の爆破数をわざわざグラフ化してくれたもの。とんだ物好きがいるものだと呆れるばかりである。

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グラフによればベイ作品の総爆破数は992回。作品数が9本なので、実に1本平均100回の爆破。「マイケル・ベイの脳ミソには火薬が詰まっている」と言われる所以がここにある。

中でも『トランスフォーマー』シリーズは相当なもので、総爆破数のうち3分の2を占めている。3作目『ダークサイドムーン』に至っては爆破数283回。尺が154分だから、1分で2回近く爆発が起こっている計算となる。まさにキングオブ爆発映画だ。

 

だが今回、『トランスフォーマー』はどうでも良い。
ベイの爆破愛が最も顕著に現れているのは、『パール・ハーバー』一択だからである。

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「え、あの気持ち悪い日本人が出てくる映画?」

「結局ただの恋愛映画」

「ベン・アフレックの演技が臭い」

「もうなんか色々臭い」

 

概ね一般の評価はそんなところだろう。あながち間違いではないが、一つ押さえておかなければならないのは、これは「爆発映画」だということだ。この点を踏まえて言えば、上の意見は全くのナンセンス。ベイがやりたかったことはただ一つ、爆破、それだけなのだ。

ファッション誌「GQ」の調べによれば、ベイの手がけた映画で最も火薬使用量が多かった作品こそ『パール・ハーバー』である。圧倒的な火薬量で当時の真珠湾を再現する、それがベイの思惑であった。当然、使用された火薬の大半は真珠湾攻撃シーンに集中投下されている。わずか30分足らずのシーンに、だ。その実、もはや「爆発映画」と言うより「火炎地獄」。30分の濃密さで言えば『プライベート・ライアン』の冒頭を遙かに凌駕している。

まとめよう。何と言ってもこの映画の見所は「爆発」である。これが9割と言っても良い。次点で「戦闘機」。そして「セックス」。この三点はいずれも中盤に登場するので、最初と最後は寝ていても何ら問題ない。ベイ映画とはそういうものだ。

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まず目を見張るのは戦闘機。世界中の航空マニアから借りてきたという本物の戦闘機が大空を駆ける。これだけでも男はダレヨが止まらない。ゼロ戦の大編隊は圧巻だが、大半はCGなので特筆すべきものではない。むしろ、破壊用に製造されたレプリカがことごとく炎に蹂躙されていくサマが美しい。破壊王の冷酷さが垣間見える瞬間だ。

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ところがどうだ。打って変わってセックスシーンときたら、得もいわれぬ美しさである。軍のパラシュート格納庫で結ばれる男女。むろんバレたらただごとではない。見つからぬよう、ひらりとパラシュートに包まれる。

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二人は声を殺して絡み合い、汗に塗れながら絶頂を迎える。一連の映像の美しさは筆舌に尽くし難く、ほとんど奇跡に近い。これだけでも一見の価値アリというものである。

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脱線したが、これは「爆発映画」である。飛行機もセックスも「魂の昇華」という点においては爆発と一味同心だが、あくまで主役は後者だ。ということで、満を持して件の火炎地獄を解体していく。

 

まずはメイキング風景からご覧頂きたい。空前の爆破シーン、その舞台裏である。

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爆発シーンを指揮したジョン・フレイジャー氏。ハッパ野郎の風格が漂う

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使用したダイナマイトは700本

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ガソリン4000ガロン(約15000リットル)

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緊張の一瞬である

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宙吊りで吹き飛ばされるスタントマンたち

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非情なるゼロ距離爆破。スタントマンも泣いて逃げる男、それがマイケル・ベイだ

 

一面に咲き乱れる炎の華。ご覧のように、ベイ映画における爆破はまるで火炎のお花畑。爆発ファンはエレクト必至の贅沢な現場である。それでは、実際に本編の映像をご覧頂きたい。総爆破数162回を数える怒涛の火炎地獄、その一部である。

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真珠湾に飛来するゼロ戦の大編隊

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パーティーの始まりだ

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以下、戦艦爆破パート。こちらはもろにCGだが、マイケル・ベイなら許せちゃう不思議

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こちらはホンモノ。このシズル感がたまらない

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『ザ・ロック』の空爆シーンと同じ構図。炎の輪郭を堪能するにはやはり俯瞰がベスト

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以下、航空隊基地の爆破パート

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実際の軍人をエキストラに大量動員。心なしかテンションが高い

ココに注目!】
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1.兵士の真横に爆弾が転がってくる

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2.兵士「不発だ!」

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3.(カチッ)

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4.兵士「」

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おまけ.さらに隣のガスタンクに引火。非情なオーバーキルもベイ流の鎮魂歌

発破ショートギャグに熟練の技が光る。これは、爆破に飽きた客の関心を引き戻す為の爆破なのだ。この「爆破の為の爆破(Blow for Blow)」を使いこなせる者は世界広しと言えどそうはいない。と言うのも、一般的には使う必要が全く無いからである。

 

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攻撃は続く

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兵士の足元を優雅に泳ぐ魚雷。実にブラックなセンスである

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世界一軍曹役が似合う名優トム・サイズモアもこの表情

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病院施設にも容赦ない攻撃。逃げ惑う看護婦を爆弾と機銃で一掃する

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マイケル・ベイの代名詞「炎上車大回転」

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立ち上がるアメリカ軍。怒りの報復爆撃へ

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眠れる獅子を起こしてしまった大日本帝国はその後、TOKYOの工場地帯を焼き討ちされ、

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一面火の海に

 

 

以上、爆破シーンで辿る『パール・ハーバー』、いかがだったであろうか。画面越しに火薬とガソリンの芳醇な香りが匂い立っていたら本望である。「色々臭い」などと言わず、今すぐレンタルビデオ屋に駆け込んで欲しい。忘れ去られたベイの真髄がそこにある。

忘れるな、パールハーバーを。
筆者は結局、これが言いたかっただけなのかも知れない。

 

 

発破爆破ノ介
『バックドラフト』を観たあの日から、爆発映画の虜になって云十年。CGがはびこる現代に『本物の爆発』にこだわる求道者。モチロン携帯着信音も爆発音。

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