第四回 「エロ本を作って逮捕された人のインタビュー その2完結編」

 

 さて、前回は、世の中のエロ本に対するニーズが、プロのモデルから素人ヌードへと移行したことが明確になり、先輩の所属している編集部でも、素人系アダルト雑誌を創刊しようという話が持ち上がったところまでお伝えした。果たしてそれがどのようにして逮捕に繋がるのか。続きをお伺いしよう

「でさ、新しい本のメイン企画として例の13歳と14歳の少女二人組のヌードを新たに撮り下ろすことになったんだけど、それだけじゃただの二番煎じだから、プロダクションに頼んで、もう一人の女の子を用意して貰ったんだよ。それが超カワイイ14歳。アイドル顔負けの美少女だったんだけど、残念なことに家出少女だったんだよな…」

―では、先輩が捕まった元凶はその少女?

「そう、そのコたちのヌードを撮影してから約一年後、神奈川県で補導されたその家出少女が、『どうやって生活の糧を得ていたのか?』という刑事からの質問に、エロ本のモデルをしたって喋っちゃったらしい。それで警察は、目の色を変えて捜査に乗り出したっていうのが、その事件の真相」

―一年も経ってから捕まえに来るなんて寝耳に水ですね。

「俺が捕まる二週間前にカメラマンと現場担当の編集者が突然捕まってビックリ。で、その撮影が原因だって分かって、もう毎日、戦々恐々としてたよ、今日にも捕まるんじゃないかって。周りの知らない大人が全員刑事に見えたぐらい。で、実際には、前日に会社の偉い人から電話があって、明日11時には会社にいてくれ…と。それで覚悟は決まったんだけど、でも、まさか実家まで捜索されるとは思わなかったねぇ…」

―先輩が捕まってる間に、実家にも家宅捜索の手が入ったと…。

「違う! 会社で捕まって、そのまま車で実家まで連れて行かれて、家宅捜索されたの!!  で、ここでは可哀想だから手錠はかけないと言われたけど、その代わりに撮影のポジをわざわざ紙焼きにして持って来て、『アナタの息子さん、こんな撮影をしたんですよぉ』って、母ちゃんに見せたんだよ…」

―それはひどい…。

「エロ本の仕事してるなんて一言も言ってなかったから、きっとパニックになったと思うよ。俺は別の刑事と一緒に自分の部屋にいたから、そのときの母ちゃんの様子は分からないけど…。で、自分の部屋で『17時何分、逮捕』と告げられ、逮捕状と一緒に写真を撮られて、車の中に戻ってから手錠をかけられた」

ーまるでテレビドラマのような…

「父ちゃんはそのとき犬の散歩に行ってたから助かったよ。犬のお蔭。犬がいなかったら、それこそどうなってたことか…」

―にしても、13~14歳のヌード撮影現場は、さぞかし興奮したでしょうね。

「バカ! 俺はロリコンじゃねーし、撮影現場へも行きたくなかったって、さっきから言ってるだろ!」

―でしたよね。では、なぜその日は撮影に?

「雑誌の創刊ラッシュで人手が足りなくて、新人編集者のサポートという形で駆り出されたの!」

―それで捕まっちゃうなんて不運というか…。

「まったくだよ。俺は事件の一年以上も前から、『上司に女の子を騙すのは嫌だか撮影から外して欲しい』って申し入れていて、そのせいで『エロ本編集者のくせに使えない奴』と思われて、窓際族になってたくらいなんだから…」

―で、警察の話に戻りますけど、自宅から警察署へと連れて行かれて、そこで厳しい取り調べが始まるわけですか?

「ぜんぜん。刑事は優しかったよ。たぶん主犯格じゃなかったからだね。基本的には事実確認をされただけ。何月何日、どこに集合したか。その後どこ行ったとか、撮影中に何を言ったかとか。事実、俺は二日酔いで何もできなかったから、厳しく取り調べても意味はなかった」

―結果、どのくらい留置され、どのような判決が?

「12日間留置場に入れられた。それで、そのあとに裁判があって、児童福祉違法は罰金がないんだよ。ゼロか百。おれは起訴猶予っていう判決だったからゼロ。他の全員は起訴されたから百になっちゃった」

―留置場ではやはり罪の意識に苛まれて?

「正直なところプースカと思ってたよ」

―プースカ…?

「つまりそれほど悪いことしたと思う気持ちがないわけ。もう、13歳の女の子が本に出て、それと同じようなことをしたんだけど、たまたまそのとき家出少女が混ざっていたというだけの話だから。改めて悪いことしたと思うか?って聞かれれば、はい、確認の義務を怠った自分が悪いと思いますって言うしかないけど…」

ー認めちゃった方が…

「認める認めないっていう話ではないと俺は思うんだよね。事実を確認してるだけの話だから。あのとき、自分が法を犯してるとはぜんぜん思わなかった。児童福祉法に抵触してると思いませんでしたか?と言われても、えっ、プロダクションが連れて来た子だし、以前に13歳がヌードになってるし、児童福祉法なんて良く分からないし…と。でも、そういう法律があるんだから、仕方ないことなんだよ」

―では出所時の様子をお聞かせ下さい。

「午後三時くらいかな。拘留を解かれて、まずは近くの公衆電話から、父ちゃんに電話した、『すみませんでした』って。それから、会社に行って、社長に報告して、で、実家に帰った」

―会社で出所祝いはあったんですか?

「何もないよ。編集長はバーミヤンを社長におごってもらったって言ってたけど、俺にはそれすらなかった…」

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―で、先輩は逮捕されてから一年後に会社を辞めますが、それは事件が原因?

「そのとき、俺はまだ30歳じゃん。次の未来があると思うんだよ。それに組織で仕事していると、周りの人の期待とか、俺のことをどういう目で見ているか、感じられるワケ。それで、ここら辺で辞めた方がいいのかなぁって思うところがあって辞めた。事件が直接的にどうのこうのっていうより、その前の段階でもう、立場も厳しくなってたし…」

―一生懸命働いただけなのに、可哀そうな先輩…

「いいんだよ、それで。貴重な経験を積ませてもらっただけの話。日本は誰でも一日生きてれば、罪を犯してるって言う話もあるじゃない? 逮捕されたこと、俺は後悔してないし悔しさもない。法律と戦おうとしてもバカだろ。不条理なことはいっぱいある。でも、世の中に対して憤るなんてないんだよ。やったことだから。それが事実で仕事だと思ってるから」

―そんな心の広い先輩を犯罪者にした当時の家出少女に対しては何を想う?

「どうでもいいよ。幸せになって欲しいとか、ぜんぜん思わないし、恨みもないね。でも、今もあの子のヌードは定番のズリネタだね。14歳だぜ。お前たちに見せてやれないのが残念だよ」

 
先輩の時代、コギャルだ孫ギャルだと、世の中は少女ブーム真っ盛り。街中にはブルセラショップやテレクラが溢れ、ほぼ公然とオヤジたちが円光少女を買っていた。会社では、尊敬する上司や同僚に求められ、売れる雑誌作りに奔走していただけ…。そんな状況にあっても、先輩の行った行為は立派な犯罪だったのだ。現在、JKリフレや撮影会が盛況を極めているようだが、僕らも知らず知らずのうちに犯罪の片棒を担いでいるなんてことがないか、良く考えて行動しなければならない。

sc02_b1ちなみに、児童福祉法でグーグル画像検索して出てきた画像はこれです。
目に焼き付けて自問してみて下さい。

 

 

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チェケラッチョハゲラッチョ伊東
1972年〜2013年までの現代日本人男性の視床下部言語野データを全網羅し、最も適切な語句、文字列、音配列を自動生成して1200文字に落とし込むカストリ本ライタープログラム(嘘)

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