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第五回 「パカパカ押し押しオジサンからの卒業」

 

 

サッカーを見ながら、さっきまでは磯丸水産で自殺点と言っていたのに、キャバクラに行った途端、モチベーションなんて言葉を使っちゃうやつが、僕です。

 

飲みに行くと傘はもちろん、なぜか指輪やネックレスなんかも忘れちゃうのが、僕です。

 

当然のようにケータイも失くします。

 

もう慣れっこで、一日に二回買ったこともありました。

 

そんな男がフォンフォンのアイフォンを持つと、えらいこっちゃになります。

 

当時から、「あのクルクルやってみたいな、触ってみたいな」と憧れていながら、「どうせ失くすんだから、失くした時に」と思ってたりして、「早く失くなっちゃえ」と持っていた携帯を酷く扱っていたものでした。

 

失くしたら次はスマホ、と意気揚々でしたがそう思っているとなかなか失くさないものです。

 

そんな頃、キャバクラに行きました。

 

モモクロの話が斉藤和義に変わり、ストーンズの話になった時、恥ずかしくなりました、キャバ嬢同志がクルクル、僕はガラケーをパカッでボタン押し押しなのです。

 

押し押しだから画面に夢中してしまいます。キャバ嬢たちの視線は、言葉に出さなくても、「………」でありました。

 

そのあと、僕のポケットのガラケーを見ながらキャバ嬢達は見送ってくれました。

 

時刻はもう10時です。夜ではありません。朝の10時です。

 

新宿から高田馬場へと移動しながら、僕の心は決まっていました。

 

例のクルクルです。

 

今までは失くしたから買うというケータイを、「いくらか分からないけど、キャバ嬢の前でクルクルしたい、モテたい」と思ったのです。

 

もちろん泥酔です。

 

で、ドコモに行ったのですが、店員のお姉さんが可愛くて、なんか永作博美っぽくて、さっきのキャバクラは飛んで、銀座のクラブに思えます。

 

すぐ買いました。

 

色の選択を迫られ、まだ酔っているので、「お姉さんには絶対ブルーが似合いますよね」と客と店員の立場を間違えているどころか、他の客はヘンな目で僕を見て、明らかに、「スマホデビューのおっさん」と嫌な目で僕を見ているというのに、永作店員さんは、「この色が売れているんですよ、今日はこれで最後です」とブルーを持ってきてくれました。

 

対応の良さと可愛さに負けて、オトナなのに、キッズケータイも買いました。

 

この日は家に持って帰ってアイフォン三昧でありました。

 

でも次の日、やっぱり失くしちゃいました。

 

今はキッズケータイを使っています。

 

IMG(イラスト:斉藤マリhttp://maric0621.blog111.fc2.com/

早坂"セロニアス"岳
ミーちゃん世代。シングル、伊藤つかさ、中山美穂、浅香唯、新田恵理、に顔射ザーメンして原田知世のポスターを抱いて寝ていた東京都は青梅市出身の反省を忘れた永遠の16歳。ティッシュというのはなく、王さんが描かれたジャイアンツのハンケチで精液を拭っていたからわりとモノは大事。ちなみにイルカで発射したこともあり。

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