第四回 「チンチンカモカモとパチンコにんぷ」

 

つうがくのがくせいさん。おともだちとでかけるためでんしゃにのりたいおばあちゃん。きぎょうせんし。えきにつどうひとたちがみんなめいわくしています。

あさです。

ぞろぞろと、えきまえのたてものがひらくまでながいれつをつくっているいいおとなたち。

なにかのおまつりかとおもったら、きょうは「ぐらんどおーぷん」のひだといいます。

01

 チンチンカモカモがそらからぱとろーるをしていると、そのれつのなかにバイドクマンをみつけました。

02

「こら、バイドクマン。またなにかいじわるをしているな!」

いつもののり。いちおうこえをかけたチンチンカモカモですが、バイドクマンはのってきません。

03

「うるせーな。きょうはそういうのいいから」

あれ? てんしょんひくい。まぁ、たしかにみたところえすぱすにならんでいるだけなのでべつにそれいじょういうことはありません。

04

「ほどほどにしとけよ」

そういって、チンチンカモカモはまたぱとろーるをさいかいしました。

そのひのひる。

ころんからんころん…。

05

けっとばしたこーひーのあきかんはひだりよりにまがっていき、えすぱすとなりのふれっしゅねすばーがーののきさきのれんがにしみをつくります。

「じだいに~、かがやけ~、がろう~♪」

バイドクマンのかわいたうたごえはえきまえのけんそうにすいこまれていきました。きょうもすっとからかんです。

そのとき、

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バイドクマンのまえを、まいめろとーとばっぐに「おなかにあかちゃんがいます」すとらっぷをつけたおんながえすぱすにはいろうとしています。

09

「ちょっとまてや!」

だれでもよかった、だれかになんくせつけてからみたかった、うまれかわったらみちになりたかった、バイドクマンにとってぜっこうのえものです。

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「おうおうおう、そこのはらぼておんなよ。みおものからだでひるすぎからいうにことかいてぱちんこたぁいいどきょうだ。これがわたしのたいきょうなの…とはいわせんぞ、こら。それともなにか、もうはんとしもせっくすしてないんです。ちくびがくろくなっちゃってだんながさわろうともしないの。もうあきなのにむしょうにすいかがたべたいの。でもなんでもいいから、なんとかいいかえしてみんかい!」

きゅうによびとめられたパチンコにんぷはびっくりぎょうてん。

08

「なによ。そんなのわたしのかってでしょ!」

そんなことばしかでてきません。

「でた! かってじゃねぇっての! てめーふつうにかんがえてたいじにあくえいきょうがないとでもおもってんの? このまやくゆうぎが。ははーん。むしろおまえ、そのすとらっぷつけてるからでんしゃよろしく、おおあたりだいもゆずってもらえるとかおもってる? てめーみたいなおんながいっぱしのおやのつらしてがきしこんでんじゃねぇよ」

しょっく。

とうとつなののしりにきがどうてんしたパチンコにんぷはひっしにはんろんします。

「だってわかれたくなかったんだもん。けっこんするしかないじゃん!」

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おっとっと。くもゆきがかわってきました。そのことばをひきだしたバイドクマンはいやしいほほえみ。いってん、しんみのふりをしてはなしをふります。

「そうかー。よっぽどだんなさんいいおとこなんだろうねぇ。すきだからじゃなく、わかれたくないからけっこんていうのもそれもまたしかり! というかんじで」

それをきくと、パチンコにんぷはぽつぽつとひとりがたりかいしです。

「そうなの。いま、だんなにだまってぼとっくすちゅうしゃしてるの。だってだんながえらのこというから…。でもちゅうしゃだから、ぷちだし。めすいれてないからせいけいじゃないから。ぼとっくすってね、えらのはったつしたこうきんをしゅうしゅくさせるちゅうしゃをうつの。だからあごがよわくなっちゃって。いま、せっくすできないからくちでやってあげてるんだけど、ふぇら、ほんとつかれるの」

めっけもののいいそざいにきをよくしたバイドクマン。きゃらもほうかいです。

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「よっしゃええで! そんなあんさんにばいどくにんぽうだいかんてんや~!」

どどーん。ぼわん。

バイドクマンがさけぶと、もくもくとけむりがふきだし、パチンコにんぷのからだはひとつのおおきなぱちんこきょうたいに!

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『CRパチンコにんぷ』

おおあたりかくりつ/(ていかくりつじ)1/283(こうかくりつじ)1/82
しょうきゅうすう/10&10
らうんど&かうんと/40らうんど・10かうんと(1じかんに6かい)
かくへんとつにゅうりつ/1/2のとくていずがら(1・3・5・7・9)でかくりつへんどう1かい(さいだいけいぞくかいすう40かい)

バイドクマン「さぁさぁ、きょうもぱっくりひらいて、ちゅーりっぷちゃん」

バイドクマン「きた! 『きょう、だいじょうぶなひだから』よこく!」

バイドクマン「あー。かんじたはっしょうでながれたー」

バイドクマン「よっしゃ、つぎこそは! 『ごむ、ちょっといたい』よこく!」

バイドクマン「おっけー! りーち! ちゃくしょう、ちゃくしょう」

バイドクマン「りーちからの~、『だんなのともだちにつめたくあたる』をへて『だんなのきゃばくらいきをもくにんするもせいかつひでぷちせいけいきめる』げきあつ! そんで、『だんなにだまってかってにうにこでべっどかう』で、おおあたり~! うめ~、うめ~、ぼこぼこうめ~」

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「こらー、バイドクマン! みたぞー。なにやってるんだー」

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やってきましたチンチンカモカモ。せいぎのみかたはゆるさない。

「ちぃ、おじゃまむしぃ!」

 

やっぱりにげあしのはやいバイドクマン。もう、はるかかなたまではしりさっています。

しかし、もんだいはめのまえのパチンコにんぷです。バイドクマンのひきあてたおおあたりのおかげで、つぎからつぎにまんまるいあかちゃんをうみつづけて、だいれんちゃん。えきまえはあかちゃんだらけです。

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「よーし、こうなったら、ぼくのくんにりんぐすでしょうきにもどすっきゃない!」

ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ…。

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「やだ、なにこれ。ずっとしてなかったから? ううん。ちがう。そうじゃない。てか、こういってるあいだにもどんどんきもちよくなってる。やだ、そこ、びらじゃない。そんなびらひっぱられたらふつうはさめるのに、もっとひっぱって! ってなっちゃう。うそ! そこ、け? けまできもちいいの? ありえない。わたしくりはだから? ううん。ちがう。そうじゃない。でも、もしこれでくりなめられたらどうなるの? っていってるそばからべろがおまんのなかにはいってくるぅ。なんでこんなにおくまでとどくの!? えっ。やだ。むり。むりむりむり。ああん。なんかつつまれてる…。なんかよどみがとれてく。てかあかちゃんだいじょうぶ? いま、あかちゃんのはななめてる? うそ! あかちゃんわらった? からだのなかにわらいごえひびいてる、って、ここにきての、くり!! ついにくりきた! だめー。もうだめー。いちおういっとく。らめー!!」

ぱっかーん。

パチンコにんぷのちゅーりっぷはひらきっぱなし。ぱちずきにわかりやすくいうなら、にんぷてんせいです。

どーん。ぼわん。

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もとのすがたにもどったパチンコにんぷ。

「さぁ、たって。これでもうやすいちょうはつにのってじぶんをないがしろにしちゃいけないよ」

てをさしのべるチンチンカモカモのおおきなあったかいては、パチンコにんぷのかさかさのこころにしみわたりました。

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「まだわたしのこといっしょうけんめいなめてくれるひとがいたんだよね。わたしって、かまってもらえないとしんじゃうじゃない? だからにんしんしてだんなからもとめられなくてうつはいっちゃってたみたい。でも、またまえむけそう。うん! わたし、がんばる!」

チンチンカモカモは「はじめてあったから、あんたのせいかくきかれてもしらんがな」とおもいましたが、それをいうのはやぼだとおもったので、パチンコにんぷのほっぺにきすをあげて、またせいぎのためにおそらにとびたっていったのでした。

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文・福田信哉/絵・いなおかつかさ
当サイトの運営をしております福田が文章、その友達の稲岡が絵を描いております。真っ当な正義、真実の愛をテーマに児童文学に挑んでおります。

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