第十二回 「パロディホール」
■ 変態紳士のオシャレなジョークタイム
パッケージデザインといえば、オナホールの建前は「ジョークグッズ」である。
ジョーク、冗談ってどういうことだぜ? エロは大事なこと。冗談で済ますなよ! って思う。
とはいえ、大マジメになるとオナニー達人ばかりの世界になって敷居が高くなる。
気持ちいいのは当たり前。話のネタを加えて冗談で買えるように後押ししてあげる。パロディ系アダルトグッズとは本来そういうものである。
AVだと、よく流行語をもじったおバカタイトルが付けられるよね?
アダルトグッズ部門を持つAVメーカーなら、そのあたりをよく心得ているはずだ。
ただし、乱発されているアニメのエロパロオナホは、実用イメージを高めるための模倣だから、ジョークと言い張るには苦しい。
近年は「もっとエロく」としか考えられなくなっていて、おバカな発想にゴーサインが出にくくなっているんじゃないのか。
そんな反省点も感じている。
今回はパロディ精神を忘れるなという意味で、秀逸なコンセプトを持つオナホを振り返ってみよう。
■ 映画・スポーツ編
あー、こりゃブルース・リーですわ。
なぜオナホールでカンフーなのか意味不明。どうしてなのか説明せず、「考えるな、感じろ」とメタなギャグにしている。
当然、オナホ自体にカンフー感は、まったく無い。女体の形してるもん。ヌンチャク代わりに振り回せば空しいだけだ。
名作古典を題材にして、流行り廃りのリスクを回避せよ、という教訓があるのかなー。
未成年は死亡遊戯と言われてもわからないだろうから、アダルト用品にふさわしいのかも。
オナバウアー THIZUKA/MAKI/YUMIE(3種、日暮里ギフト、2007年)
2006年のトリノオリンピックで流行語となったフィギュアスケートの技「イナバウアー」を翌年にフィーチャーして発売。一応、意味はある。オナホ本体がくの字型に曲がっていて、背を反らすイナバウアーをイメージしたと解釈できなくもないのだ。
そのイナバウアーで有名となった荒川静香選手のマンコをオナホ化ということなのだろうが、SHIZUKAとしてはヤバいと思ったのか「THIZUKA」と発音しにくい名前にされてお店に並ぶ。
まさかオナホを注文する際に舌を前歯に当ててTHの発音をしなければならないとはな……。
ちなみにパッケージには「チョー気持ちいい」とも書かれてあり、スケートからいつの間にか水泳になってしまったところが笑える。そのセリフ言ったの、男じゃねえか! 何も言えねえ。
■ アイドル編
言わずと知れたAKB48のパロディ。メンバーの誰かではなくグループ名で、さらにひねってあるからギリギリセーフか。
というかグループ全体のファンって、そんなにいないよね。抽象的に、AKBという社会現象をネタにしたジョークに仕上げている。
2010年の作品では、アイドルは恋愛禁止でセックスはダメ→掟を最大限拡大解釈することでアナル挿入はOKという設定のアナルホール。翌年の「前解禁」では膣による枕営業を開始。
アイドルが設定の商売なら、それをオナホに設定して商売するのもアリだろう……
そんなエロだけではない風刺としても成立している。
グループアイドルでいうと、こんなのもある。
モーニング娘。からの牛の擬人化少女のオナホールだ。
アイドルですらなくなってしまった……巨乳の人をホルスタインとか言うけども、オナホ本体におっぱい感も何も無くて、逆に笑える。ただ、本体の性感実力で売れているみたいだよ。
■ フードポルノ編
深夜に食って寝たら太りそうな、扇情的に旨そうな食い物の画像を「フードポルノ」と呼ぶ。
逆に、食い物を模したエログッズがあれば、それもまた別の意味でフードポルノなのではないだろうか。
参考までに、ローション屋界隈では清涼飲料水っぽいペットボトルに詰めたパロディローションがよく見られ、ガチでチキンレース状態となっている。ボルヴィックのパロディ、「ヴィクヴィック」を売り出したところ、本家ボルヴィックがクレームを付けてきて販売停止となったというエピソードもあった。身体を張ったギャグである。
オナホールと肉まんが奇跡のコラボ。関西の中華まんじゅう店「551蓬莱」の箱をパロっているそうだ。
特徴ある551の数字を、トイズサカイのトイズ=1012と置き換えている。
大阪ご当地オナホを狙ったのかな? 現在も売られている商品ながら、東京のアダルトショップではレア。東京名器物語は別に東京限定じゃなかったけども。
オナホ本体は例によって、まんじゅうの形をしていないし、まんことまんじゅうを掛けてるだけで、まんじゅうがエロいわけでもない。
ヌードルキング もちもちソフト/しこしこノーマル(2種、ワールド工芸、2014年)
日清カップヌードル・キングを大胆に取り入れた意欲作。
商品名そのままに、カップ麺を放置し、わざと伸びさせてヌルくなった頃にチンコを突っ込むオナニー法をオナホ素材で再現したというコンセプトである。
そのパロディはセーフなのかアウトなのか、困惑して笑ってしまうほど。ちなみにカップヌードルの「ド」は歴史的経緯から、ヌードと誤解されないように小さく印刷されているが、ヌードルキングでは「ド」が小さく再現されていない。残念。
カップ麺オナニー自体は有名な話。つまりカップ麺はもともとエロい連想が可能なモチーフだ。
とはいえ、これを他のオナホよりも気持ちいいだろうと期待して買う層は少ないと思う。明らかにネタホール。
でも、ドール装着用に使うとネタ抜きに気持ちいいんだぜ。
本体もパッケージもウケ狙いだけのように見えて、実は麺同士を縛って触手感のカスタマイズが自在にできる利点もある。
オリンピック開催などでエロ規制が厳しくなれば、非エロな笑いで目を惹くパロディ戦略は再び注目されるはず。ワタシも引き続き見守っていきたいと思う。
ツイート- 器具田こする教授
- ラブドールとオナホールのR&Dアートユニット「器具田研究所」を運営。メーカーへのアドバイスや技術協力といった説明のしにくい業務でオナニー業界の異常進化を支えている。http://www.kiguda.net/
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