第三十一回　「猫を飼う前に」

 

 

近頃、空前の猫ブームなのだそうで、今年中には家庭での飼育数で猫が犬を上回る勢いらしい。

 

私も猫は好きなので、飼ってみたい気持ちはある。

 

飼う以上は最後まで責任をもって面倒を見なければならない。

 

トイレや爪研ぎの場所は覚えてくれるか、自分に懐いてくれるか、一人暮らしの場合、飼い主が不在時に寂しくないか等の問題もあるが、これまであまり語られていない、気になることがある。

 

飼い主がシコっている時、猫はどこにいるのだろうか。

 

猫はわりと空気を読むと聞いたことがある。

 

私の部屋は１Kだが、私がシコり始めたら、猫は見えない位置に移動してくれたり、寝たふりをしてくれるのだろうか。

 

猫にも性格があるので、飼い主と常に一緒にいたがる猫だった場合、これはやっかいな問題だ。

 

猫の視線を感じながらシコったり、猫を台所に移動させドアを閉め、空けてくれと鳴き続ける声を背にシコったりできる強いメンタルは私には無い。

 

特にメス猫の場合、汚らしいものを見るような目つきをされるのではないか。

 

私が猫なら、飼い主がシコった後、きちんと手を洗ったのを確認してからでないと、餌をもらったり、体を触らせたりしないようにする。

 

飼い主が女性の場合も油断はできない。

 

外でチンポを触ってから帰宅した可能性があるからだ。

 

チンポの成分や精液の付着した手で体を撫でられたら、たまったものではない。

 

こっちは始終、毛繕いをする癖があるのだ。

 

人間の女性は即尺をしたり、精液を飲んでもケロッとしているが、猫には有害かもしれない。人間のチンポの成分や精液が猫に及ぼす影響に関する調査結果はあるのだろうか。

 

一人暮らしで猫を飼う男女も多いと思うが、部屋に異性を招くこともあるだろう。

 

セックス中、猫はどうしているのだろうか。

 

猫は寝ている時間が多いが、猫の聴力はかなり優れているので、普段は耳にしないセックスで発生する音や、飼い主の１オクターブ高い声に反応して起きてしまうのではないか。

 

目の前の光景が人間の性行為なのだと猫が理解できる場合は、自分を去勢したくせに貴様らはと激高され、決定的な溝になる恐れがある。

 

猫が人間の性行為と理解できなかった場合も非常に危険だ。

 

飼い主が男性で、部屋に女性を連れ込んだ場合を猫の立場で考えてみよう。

 

訪問者は飼い主より小柄で愛らしい顔を持ち、体が丸みを帯びている。

 

一糸まとわぬ姿になったのを見て確信に変わる。

 

これは飼い主が円盤状のものを箱に入れたら登場する生き物の仲間だ。
しかし今度のは、やけに立体的だ。

 

豊かな乳房を見て、あそこは抱かれ心地がよさそうだと期待が高まったが、下半身にも口があることに気づき考えを改める。

 

あの部分はもっとぼやけていて見づらい形状のはずだ。
飼い主も見づらいのか、よく目を細めていた。

 

それがどうだ。上の口に比べ非常に複雑な構造の口が下にもあるではないか。
飼い主も驚いたのか、目を見開いて凝視している。

 

あいつは乳房で飼い主をかどわかして部屋に侵入してきた妖怪か何かだ。
あの下の口は飼い主は無理でも、自分くらいなら易々と飲み込んでしまうだろう。

 

飼い主が顔に座られ、あの下の口を押し付けられた時はどうなることかと思ったが、なんとか形勢逆転したようで、今度は飼い主が上になり、相手をこらしめているようだ。

 

しかしあの下の口に肉体の一部を差し込んで大丈夫なのか。
「喰いちぎられそうだぜ！」とか言ってるし。

 

決死の覚悟で妖怪に飛びかかる。

 

以上をふまえると、私が猫を飼うのは、ペット禁止の部屋に住み、引っ越し費用もないこともあるし、時期尚早と判断した。

 

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殿方充
芸人。「浅草お兄さん会」第６代チャンピオン。「下ー１グランプリ」第１回、第３回優勝。４才よりオナニーを継続中。

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